子ども哲学 Think&Debate

子どもと一緒に、親になる。

「健康で時間のある人しか仕事ができない」システムの終わり

先日テレビで、がんの生存率も以前よりは上がったから、診断されてもすぐに仕事を辞めない方が良い場合もあるという話をされていました。最後は「職場での理解が増えるといいですね」という締めくくりで終わりました。

仕事と育児を両立できずに辞めてしまう人が少なくないですが、同じく介護や病気で働き続けることができず、仕事を辞める人もいるわけです。逆に言えば、「健康で時間がある人しか正社員になれない」ということでしょう。

一方で、人間が生きる上では様々なことがあります。子どもが生まれ育てることもあれば、親(結婚していれば双方の親)の介護をする必要が出てきたり、病気になることだってあるでしょう。そういったライフイベントに、現代の会社システムは対応できていないのですね。

問題なのはライフイベントに変化があった個人でなく、個人のライフイベントに対応できない会社の方です。まず、会社のシステム自体が「独身者、もしくは妻が専業主婦の男性」にしか対応していないから、問題となっているのです。

現代では、個人を責める意見の方が多いですよね。「悪いのは会社のシステムじゃなく、何か起こった個人の方だ」と。だから「申し訳ない気持ちで罪悪感を感じ謝りながら」ワーキングマザーが早帰りをすることになるし、いつまで経っても会社のシステムも変わりません。

「職場での理解」とも言いますが、これも難しい。長年同じ価値観で生きてきた大人が、急に価値観を変えることはほとんどありません。違う価値観には「甘え」「ガマンが足りない」と言って終わらせてしまう人が多いものです。そもそも日本人は、島国なので価値観を変えるのが上手ではないでしょう。

しかしこれからの時代は人手不足ですし、「70歳定年制」もおそらく採用されるでしょう。女性も、高齢者も、仕事をする必要が出てくる。専業主婦が減るので男性も自由が利かなくなるし、病気を抱えながら仕事をする人も増えるので、今までのシステムは通用しません。

今までよりも人に合った会社へと変化していき、個人に何か起こっても必要以上に罪悪感を感じて休むことがないよう、祈っています。